1.樹脂とプラスチック

 樹脂とはもともと植物体から分泌される物質を指し、英語でresinといいます。松脂(まつやに)が有名ですね。一方、人類が最初に合成に成功した高分子材料は松脂と外観が似ていたため、これもresinとよばれました。この合成樹脂は一般的な性質として加熱すると軟化して任意の形に成形することができる、すなわち塑性 (plasticity)をもっているのでプラスチックともよばれます。このため、樹脂とプラスチックは同義語になっています。主原料は以前は石炭でしたが、1950年代から石油に代わり、現在では、その使い勝手の良さから鉄鋼・セメント・ガラス・木材・軽金属などと同じように、基本的な材料として重要な一角を占めています。一方、環境保護のために生分解性プラスチックの開発も進められています。

2.樹脂の分類

 常温では固体ですが、熱を加えると軟化して流動体となり、また冷えると固体になるプラスチックが熱可塑性樹脂です。お菓子に例えればチョコレートタイプですね。一方、温度を上げると一時は流動体となりますが、次第に化学変化を起こして固まり、硬い物質に変化してしまうプラスチックが熱硬化性樹脂です。お菓子ではビスケットタイプですね。この他にも特定の波長の電磁波により硬化する光硬化性樹脂もあります。

3.熱可塑性樹脂の種類と用途

 この樹脂はひも状の高分子が絡み合ってできています。加熱によって軟化するので容易に成形でき、また、冷却により速やかに固化するので、生産性に優れるという特長を有しています。強度や耐熱性という機能で分けると汎用樹脂、エンジニアリング樹脂、スーパーエンジニアリング樹脂に大別され、後者ほど機械的機能が向上します。一方、高分子の並び方に規則性があるものを結晶性樹脂、ランダムなものを非晶性樹脂とよびます。前者は耐薬品性に優れ、後者は透明性に優れます。目的に応じて充填材を配合したり、発泡構造にもします。

4.熱硬化性樹脂の種類と用途

 この樹脂は主剤、硬化剤および各種添加剤からなる複合材料であり、これらを配合した時点から化学反応により分子構造が二次元から三次元に変化し、高分子化が進んで最終的に不溶の生成物となります。その硬化物は接着性、機械的強度、電気絶縁性、耐薬品性などに優れた性質を有しているため、電子・電気機器の構造絶縁体や機構部品、自動車部品などに用いられています。こちらも目的に応じて充填材を配合したり、発泡構造にします。